子供も立派な社会人 

  
 子供は日々成長しています。そして、少しずつ「良いこと、悪いこと」の区別がつくようになっていきます。とは言え、当然まだまだ「未熟な一個人」。しかし、未熟だからと言って「子供なんだから、少々のことはしようがないよ・・・」「子供なんだから、少しくらいは悪いことをするのは当たり前。」とは絶対に言えません。ましてやその子供の親達が、(少々のことは子供なんだから目をつぶってもらえるだろう・・・)などと甘い考えを持つことは、決して許されない意識です。なぜって?子供は生まれた時から立派な社会人の卵であり、また社会人予備軍であるのです。そして「親」こそがそういう社会人を育てる大きな任務を負っていることを忘れてはなりません。

町の中で見られる光景いろいろ

 昼間、比較的すいた電車。停車した駅から、幼稚園入園前と思える子供とお母さんが乗り込んできました。ミニカーを持った子供が大声で言います。「ああーん、ぼく すわりたいーー!!空いてないーー!!」するとお母さん「しようがないでしょお、空いてないんだからあ。どっか空いてからでないと座れないわよー。」それでも子供は大声でダダをこね続けます。車両の中は、(ナンダ、コノオヤコハ!)という雰囲気。そんな時、一人のお年寄りが、わざわざ席を立って親子に近寄ります。
「奥さん、どうぞ。私、次でおりますから。坊ちゃんお疲れになったんですよね。さあ坊や、どうぞここにお座りなさい・・・」車内、ちょっと沈黙・・・
そこでお母さん「すいませーん。ほら、よかったじゃなーい。おばあちゃんが替わってくれるって。さ、座りなさい。」男の子、いちもくさんに空いた席によじ登り、左右の人にはお構いなし。窓の方を向いたままで、左に右にミニカーを走らせる・・・・おばあちゃんは人の良い笑顔で親子を眺める、まわりの人達、割り切れない思い・・・

** 天の声 **
 ちょっとちょっとお母さん、席を替わってくださったおばあさんに御礼は?それに、本当は若いものがお年寄りに席を譲ることを教えるのがお母さんの役目でしょ!ほら、座席は座るところ、靴のまま上がらせちゃダメでしょう・・・ ほーらやっぱり横の人の服が汚れたじゃないですか、お詫びは?息子にゴメンナサイをさせないの?それでもまだ靴は脱がせないの?ミニカーは、ちゃんと前を向かせて、手の中、膝の上で遊ぶことを教えなさい!!ほんとにー・・・子供の運賃は半額、それにこの子はまだ子供料金さえ払っていないでしょ。そんんなふうに考えれば、子供には座る権利はないのじゃないですか?よほどのことがない限り、子供は親のお膝の上!!


 駅構内の長い階段でのこと。やっと一人で歩けるようになった子供の手を引いて、お母さんが階段を降りていきます。一つ一つ踏み外さないように、時にはお母さんの手からぶら下がるようにして降りていくお嬢さんの様子が、さもうれしそうなお母さん。
「上手ねえ、ほんとに上手。ほらもう一つ、ふたーつ、みーっつ・・・そうそう・・○○ちゃんはあんよが上手・・・」
ところが、そこに新しく電車が到着。たくさんの人が同じ階段を降りて来ました。みんな先を急いでいる様子。「・・・はーい、一つ・・・ふたつ・・・そうそう、上手上手!・・・」さっきのお母さんと女の子は、まだまだ階段の真ん中あたり。横を駆け足で降りていく人達に注意を払うでもなく、気遣う様子も、道を譲るでもなく、マイペース!?で降りていきます・・・・「一つ、二つ・・・・」

** 天の声 **
 我が子がよちよちと歩く様子、本当に愛らしいですよね。でもね、それは他に人がいない時にしましょうよ。お家の廊下や、広い公園などではほほえましい光景ではありますが、でも、場所はわきまえましょうね、お母さん。
あなたが我が子を愛らしい!と思うのと同じ気持ちで、世の中の人がみーんながあなたのお子様を「目に入れても痛くない」という愛情深い気持ちで見ているとは限りません。子供は社会の宝。でもね、お母さんこそが社会性を身につけて欲しいものです。それが階段でなくても、先を急ぐ人達には道を譲ったり、お先にどうぞ、と声をかけたりすることは社会人としてのマナーです。困った人だな、お母さん。あなたがそんなでは、あなたのお子様の社会性、先が思いやられますねえ・・・



 
 ここは町の電気屋さん。お母さんは新しい電化製品をお考えになっている様子で、お店の方にいろいろと質問をしています。一緒についてきていた男の子は、最初はたくさんのテレビの前でにこにこと見ていたのですが、長い間待たされる間に、それにも飽きてちょろちょろ、うろうろ・・・を始めます。展示している冷蔵庫のドアをバタンバタンと開けたり閉めたり。きれいに並べた携帯電話を勝手に並べ替えたり、ラジカセのボタンを押したり、掃除機のホースの上に乗ったり・・・お店の人は横目でちょっと気遣う様子。ところがお母さん、息子のイタズラを見ているのか見ていないのか、「○○ちゃん、ダーメ。お利口にしてね。」

** 天の声 **
 お店のものは売り物です。こういう子、どんな店にもいますよね。
パン屋さんでパンを素手でさわっている子、トングでつつく子、オモチャ屋さんの売り物のオモチャで勝手に遊んでいる子、本屋さんで絵本を平気で折り曲げたり、汚くページをめくったりしている子・・・・
ところが、何故か最近はそんな子供達のお母さん方は、決まって言うのですよねえ「いい子にしてね。」とか「お利口にね。」って。果たして、そういう呪文みたいな決まり文句で、幼い子供が自分の行為が「いけない行為」と理解できるのでしょうか?
子供を叱るときは、まずは何故それがいけないのかを説明して叱ること、そして一度叱った後でもその行為を繰り返す時には、きつく叱るべきなのです。叱る時には『品良く』よりも『しっかり、はっきり、きっぱり』が大切。わかって欲しいですねえ、叱る、という意味を・・・・



 ここは美味しいことで評判の洋食屋さん。平日のお昼時には、近所のサラリーマンで一杯になります。この日は土曜日。幸い平日のように外にまで並ぶ人はいませんが、やはり12時を少しまわった昼食どきで、店の中は満員。空席はありません。そこに二組の親子がやってきました。どうやら何かのおけいこの帰りらしく、お母さんは2人とも手におけいこバッグをもっています。

「いらっしゃいませー!すみません、今満席なので少しお待ちいただけますか?」「いいですよ。でも相席にはしないでいただけますー?」「はい、かしこまりました。」と即座に応えたものの、店員さんはちょっと不服顔です。
「あのねえ、ここのオムライスは有名なのよ。この間、○○って雑誌にも紹介されたんだから・・」
「へえ、そうなのお、○○の雑誌にねえ、すごいじゃない。」
5分ほど待つと、一つのテーブルが空きました。待っている間も、子供達が静かにしていたかと言えばそうではありません。2人でカードの取り合いっこをして騒いだり、「ねえ、ねえお母さんってばあ、ねえ、ねえ、ねえってばー・・」と2人で話し込むお母さんに大声で話しかけたり。
 大抵こういうお店では、昼間のたて込んでいる時間は、皆さん「その日のランチ」を注文されますね。ところがこの親子、当然お目当ては雑誌に紹介されたオムライスです。メニューを見ながら考えます・・・
「うちの子はケチャップが嫌いなのよねえ、だから何にしようかしら・・」
「じゃあ、ママがオムライスを食べて、○○君は塩味のスパゲティーっていうのはどう?」
「そうねえ、じゃあ、そうするわ。」
「すみませーん、注文御願いします・・・・オムライスが二つ、それからスパゲティーが一つ、えーっと、あなたは何?・・・・ハンバーグ?本当?ちゃんと食べられるの?ママはまたあなたの残りものを食べるのはイヤよ。オムライスにしなさい、ね!・・・え、いやなの?・・・・ハンバーグなの?ママ知らないからね、食べられなくっても・・・」注文だけでも大騒動。

 案の定、1人の子供はハンバーグを食べ散らかしただけで残し、なかなかオムライスが出てこないと文句を言ったお母様方もやっと食べ終わりました。店の入り口では4、5人の人が待っています。お皿を引きに来た店の人に「まあ、引くのだけは早いのね・・」などと聞こえよがしに2人で言った後、「ホットコーヒーを二つ、それからアイスクリームを二つ!」と注文。店のお客様の視線を感じているのか感じていないのか、4人の優雅な食事は続きます。

** 天の声 **
 グルメブームですね。雑誌でもテレビでも「うまいもの特集」。この飽食の時代に、子供の頃から食に興味を持たせ、食べ物に感謝する気持ちを育てることは大切なことです。口が肥えるのも悪いことではありません。その店の美味しいものを求めて出かけていくことは、きっとお店にとってもうれしいことでしょう。しかし、それも時と場合によりますよ!!これがファミリーレストランの話であれば納得もいきますし、非難することもありません。しかし、このお店は、どんなにオムレツが美味しかろうと、グルメ雑誌に取り上げられようと、普段はサラリーマンや学生を相手にしているお店。お昼時は作りやすい「日替わりランチ」でどんどん回転をさせたい、と考えているお店なのです。メニューにオムレツやスパゲティーはあっても、昼時はどうしてもランチ優先で、他のメニューには時間がかかるもの。
もし、このお店の美味しさを親子で味わいたいのなら、少しランチの時間をはずすとか、日曜日にするとか、それくらいの配慮は必要ではないでしょうか?
お金を払えば小さな子供でもお客様。確かにそうです。しかし、こんな簡単な相手の立場や状況(この場合はお店や、待っている人)を思いやれない親には「思いやりのある子を育てる」などということは出来ないでしょう。人を思いやること、気遣うことなどの人間教育は、机に座って教えられるものではなく、自然にまわりの大人から学ぶものです。社会性、お母さんにもないのでしょうか?


 『個』の考え方が浸透した結果、大きな目で『社会の中の自分・社会の中の子供・社会の中の家族』を見つめること、認識することが出来なくなっているようです。その結果、子供の社会性は育ちにくくなり、その上少子化も手伝って、自分勝手な自己中心的な考え方しかできない子供が増えました。
 
そういう責任は現代社会にあるのですか?いいえ、そういう漠然としたものに責任転嫁をせず、もっともっと子供を持つ親1人1人が「社会人を育てている意識」を身につけていかなければいけない!!と私は考えているのですが・・・・いかがでしょうか?

まどか先生の育児相談室 index