子供は王子様、王女様?? 

 現代の日本では、2人のきょうだい、多くても3人きょうだいというのが一般的で、ここ数年は一人っ子も増えてきました。こうなると、子供は家族の中では常に大人に囲まれ、どんな場合でも親の目が行き届きます。核家族が普及した今日ですが、ここ数年は住宅事情により二世帯住宅も増え、そういう家庭では子供のまわりには親だけではなく、おじいちゃん、おばあちゃんまで存在するようになります。実際、昔ながらのこういう家族の絆は、子供にはとても良い環境ではありますが、ある一面では昔ほど祖父母も親も現代の文化生活の中では忙しく毎日を送る必要はなく、その分「孫を見る楽しみ」の時間が増え、いきおいもっと子供に目が届く状態が生まれてきます。
 痛いところに手が届く、とはよく言ったもので、まさに大人に囲まれた子供は、自分で訴えなくても、苦労しなくても、何でも理解してもらえて、奉仕してもらえるのです。昔のように子供は「自分のことは自分で知恵を働かせて解決する」という必要がなくなりました。しかし、その中でも多少心ある(?)家庭では、「自分のことは自分で・・・」という教育上の必要性を感じ、涙をのんで大人は手助けすることを我慢し、歯を食いしばり見守る、こととなりました。

 その上、ここ十年ほどの間に定着した「ファミリー指向」。これは二世帯住宅同様、理想的な家族ではありますが、この「ファミリー」意識の中には、以前の「家族の形態」とは少し違ったニュアンスもあります。
 たとえば、家族の「仲間的なつながり」がそうです。昔は、家長としての父があり、それを支える母がいて、その両親を敬愛し、背中を見て育つ子供達、がありました。
 しかし今では、『父権の低下によって発言権が小さくなった父』『自分の思うとおりに忙しくおけいこや塾などのスケジュールをこなす子供を、こよなく愛する母』『母の父に対する態度から、尊敬の気持ちが感じられない子供。父を恐い存在、偉い存在としては見なくなった子供』というような不思議な関係が出来上がり、現代では「ファミリー指向イコール子供中心」という考え方が非常に強くなりました。
当然、子供の力、存在は家庭の中で強まり、ここに「子供は王子様、子供は王女様」という公式が生まれてくるのです。



「叱る」の項目でも述べたとおり、今の子供達は叱られた経験がほとんどありません。かえって子供が思うようにならず、父親や母親にきーきーと怒鳴り散らす子供・・・というようなことのほうが日常茶飯事かもしれません。その結果は????容易に想像がつきますね。
 今の子供は、待てません。親が誰かと話している時、電話中の時、家事をしている時、子供は自分の思いついたことを、すぐに話そうとします。思いついたこと、すぐにしてもらおうとします。この事自体は、非常に子供らしく、別に奇異なことではありません。しかし、問題はその後です。普段大人に囲まれ、大人の目の届く中で暮らしている王子様王女様は、まわりの大人を「いつでも何でも」自分の言うことを聞いてくれる人と勘違いしてしまっています。その相手が「少し待ちなさいね。」「この後でしましょう。待っててね。」と諭しても、なかなかそんなことは聞けません。待てません。当然思い通りにならないことに腹を立て、むずかり、機嫌を損ね、最後には親のほうがあやまる始末・・・ こうして文字にしてみると、どうですか?変でしょう?
 最近では、自分の思い通りにならず、お母様にくってかかって、ぶったりしている子も見かけます。そして、その時のお母様の態度がいけません。「○○ちゃん、ごめんなさいね。ママ、謝るわ。〜したげるから、ご機嫌なおしてね。」?????

 確かに子供も立派な一個の人間です。家族の一員として、正当に扱われるべき存在です。しかし、まだ生まれてから10年もたたない、ひよこではありませんか!
 
父親が、父親であることをかさにきて、命令し、服従させることは間違っています。しかし、父も母も、どんなに時代が変わっても、親としての「尊厳」を失ってはなりません。親としての「権威」は、保たれなければならないのです。

 子育ては点の作業ではなく、線の作業です。今、1歳の子供にしている家庭教育は、2歳に成長する子供の中に残るのです。そして、中学生や高校生の息子や娘は、テレビに出てくる目を覆いたくなるような「変な」「奇人」に突然なるのではなく、3歳や4歳の延長線上にあるのです。
楽しい事、楽なことのみに興味を示し、自分にとってイヤなことや、辛いことからは目を背け、拒否する現代の中高生。そのほとんどが自由、自立だけを求め、その自由や自立にともなう大きな責任の意味を全く理解出来ません。
 今あなたのご家庭で、もしお子様を王子様や王女様にしていたら・・・・・十数年後には、テレビの中の「ギョッとする」中高生の親になってしまうかもしれませんよ。

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