親としての考えを持ちましょう
 

 現代は情報化社会。そこらじゅうに情報があふれています。育児についてもその例外ではありません。書店に行くと「育児」の棚にはたくさんの本、週刊、月刊の雑誌たーくさん。NHKでも民放でも、趣向をこらした幼児向けの番組がいっぱい。ミニコミ紙では、各種おけいこ事の広告、ママ達のサークルの数々、そしてお砂場でもスーパーでも、どこから仕入れてくるのか、お母様方は豊富な「幼児教育」の情報交換・・・
「これからは子供にもパソコン時代。教室があるんだって!」
「やっぱり今の時代、英語くらいはねえ。あそこの英会話教室の先生はやさしくって人気なのよ!」etc. etc.
 いったい何を信じて、どんなことをさせれば、我が子は賢い子供に育つのでしょうか?
たぶん、私はそういう情報のすべては、お子様にとってプラスの情報なのだと思います。子供は可能性の宝庫ですからね。どんな方面に才能を発揮するか、わからないですもの。
 しかし、プラスになる情報だからと言って、どれもこれもすべて試してみますか?

 私が考える一番大切なこと、それはお父様が、お母様が、自分達の身の回りにやって来る情報を一つ一つよく理解し、その中で一番アピールしたものは何か?もっとも心引かれたものはどんなことだったのか?そして、どうしてアピールしたのか、心引かれたのか?をしっかりと考えることです。
 そう、大事なことは、豊富な情報にただ流され、振り回されず、その中から『ご自分の家庭に合ったもの、ご両親の教育方針にぴったりといくもの』を、お父様やお母様自身が取捨選択する目、力を持つことなのです。
 少し乱暴な例えではありますが、いくら一つ一つがステキだからと言って、手の指10本すべてに指輪をはめる人はいませんよね。ましてや、その上にイヤリング、ペンダント、ブローチ・・・と飾りたてる人はいないでしょう。子供に対しても同じこと、です。
 私のところにご相談にみえるお母様の中には、「いろいろな人が良いわよ、というものはすべて、我が子に与えてやりたい!させてやりたい!」とおっしゃるお母様が大勢おいでになります。確かにそれも親心ですね。私も2人の子供の母親です。この2人が幼い時には、同じようなことを考えましたから、お母様方の親心はよくわかります。
 我が子に一つでも多く、有意義な経験をさせてやりたい、様々な能力・技術を身につけさせてやりたい・・・・しかし、欲張りは禁物です!!
 またまた不謹慎な例えですが、100円ショップで、これは便利、これはすごい、安い!と買いまくり、お家に帰って「むー、結局は無駄遣いをしたかな・・・?」という経験、ありませんか?
 
 子供は一個の人間です。ご両親のお人形ではありません。ご自分達の満足のいくようにあっちこっちに引っ張りまわし、有意義な情報から様々の有形無形のものを与えてやる・・・しかし、ふっと気付くと親子ともに疲労困憊。これでは「親」「家庭教育」の意味がありません。
 




 最近目に見えて増えている「スーパーパワフル教育ママ」
私が子供だった頃には、そういうたぐいの人種はウルトラマンに登場する怪獣のような名前で「ママゴン」と呼ばれました。ここでは「Super Powerful・・・」の頭文字をとって「SPママ」と呼びましょう。そうです、SPママは、『ぬきんでて』と『何でも』が大好きです。つまり、我が子が幼い頃から、ご近所の誰よりも際だって目立つこと、そしてお勉強的な「頭」にかたよらず、スイミングも体操も、情操教育として音楽も美術も大切にしています。結果的に、SPママは我が子に、ファッション面でも流行に敏感に装わせ、「あっ!」と振り返り、スゴイな、と思ってもらえるような格好をさせ、毎日、英語教室、計算教室、ピアノ、アトリエ、スイミング、体操・・・・と連れ歩くことになります。むー、確かにスゴイ子供になりますよねえ。これがSPママの信じる英才教育なのですね。しかし大丈夫ですか?お母様、疲れませんか?あなたの大切なお子様は疲れていませんか?
「ママ、ご本を読んで!」と言われた時、「さあ、今日は何を読んであげましょうか。」と笑顔で応えるパワーは残っていますか?
「お母さんの作ってくれたオムレツだーいすき!今日の晩御飯はオムレツね!」と言われた時、「はいはい。」と応えはしたけれど、結局は疲れた体を引きずって、こっそりお総菜売場に駆け込んでいませんか?私は何もここで、「おけいこごと」を非難しているのではありません。それはおわかりですね?
 
 昔から「頭でっかち」という言葉がありますね。この言葉の意味は、『理屈や考えばかりが先行し、内容や行動が伴わない』と広辞苑に出ています。このような悲しい人間は、突然に出来上がるのではありません。そして、頭でっかちの子供は、勝手に出来上がっていくのではなく、間違いなく頭でっかちの親によって育てられるのです。
 ここ十数年の幼児教育ブームで、確かに「能力」を開発され、優れた「能力」を持った子供は増えました。これは、子供自身にとっては、決してマイナスではありません。
しかし、そういう「能力」中心主義に陥った親たち、子供の「出来不出来」だけで評価、判断することに慣れ、そのことを良しとする親たちが増殖されたことによって、今、子供が危ないのです。
 
 子供の人間としての基礎は、大部分が家庭によって育ちます。そして、育てるのは誰でもない親です!その大事な責任を担っているご両親が、しっかりとした親としての教育方針も持たず、○○が良い、と聞くとそっちへフラフラ、△△が良い、と聞くとまたそっちへフラフラ・・・それでは、子供は「良い子」には育ちません。

 まずは両親が『しっかりとした子供を育てる上での考えを持ち、漠然とでも我が子の将来の展望を持つ』ことが大切です。あふれる情報に振り回され、評判の良いおけいこごとや幼児教室に通わせることで安心し、我が子の教育をすっかり「あなた任せ」にし、親としての責任を自覚することなく、ただただ子供に夢を託すことは愛情ではありません。

 
最近は、何でも「教室流行り」。自転車の補助輪を取るための教室まで出現しました。そこにヘルメットやヘッドギアー、肘や膝にローラーブレード用のかっこいいサポーターなどをつけて車で送られて登場する子供達。
 母親は、その道のプロにお任せしている間、近所でお茶をして待つのです。しかし、内心は(きっとうちの○○ちゃんが一番になってやるー!)などと思っています。

 これって、やっぱりちょっと不思議な気がしませんか?お父様が単身赴任中で、お母様が自転車に乗れない、というような理由ならば理解もできますが・・・ 昔は、お父さんに怒鳴られて、悔しくて、悲しくて、泣きながら何度も何度も練習したものです。そしてお父さんも、心を鬼にして我が子に怒鳴り、何日目かにやっと『スーッとお父様が離した手から子供の自転車が進み始めた時、涙が出るほど感動』したものです。そこに、父と子の「確固とした何か」が生まれたのですよね。そして、父も子も、練習を辛い気持ちで眺めていた母も、いつまでもその瞬間のことが忘れられない・・・そんなものだと思うのです。
 さあ、どんなに情報が溢れていても、その情報に振り回されず、しっかりとした親としての責任と考えを持ちましょう。

まどか先生の育児相談室 index