ファッションと育児

 子供を育てている時は、自分の身なんてかまっていられない・・・・こんな発想は、おとぎ話になりましたね。本当にまだ小さな赤ちゃんを抱っこしたお母様も、ベビーカーをおしているお母様も、みなさん一様に「こだわって」装っている様に見える時代になりました。それに、一昔前は、幼い子供を連れて、お母様同士でオシャレな町にお買いもの、とか、ベビーカーを押してウワサのお店でランチ、なんて、ちょっと信じられない時代でしたから・・・・ 

「卵が先か?にわとりが先か?」ではありませんが、そういう子供連れのお母様方の変化に従って、町のお店の様子も、サービス全般の間口が広くなった、と言えるでしょう。お店側はあと数年、子供の嬌声やイタズラを我慢すれば、間違いなくそのお母様方は「おいしいターゲット」となるわけですから・・・
 しかし、ここで一言、本題からは離れてしまいますが、敢えてご忠告。「子供も立派な社会人」の項でも少しふれましたが、子供を連れているお母様こそ、社会的な道徳心、モラルに敏感になってくださいね。お店側が「どうぞ」という態度であっても、まわりのお客様(もちろん、子供を連れていない方々です)に対するご配慮を、是非お忘れなく!!
 
ファミリーレストランでもないお店で、キャーキャーと子供が走り回ったり、磨き上げられたドアや窓にべたべたと子供の指紋がつくような愚行があったり、お手洗いの小さなごみ箱に山のように積み上げられた紙オムツがあったり・・・こういうことは、お母様の常識が問われるところです。(だって子供連れなんだもん!)これは理由にはなりません。

 食事というものは、「食欲を満足させる、空腹を満たす」という意味だけでなく、「ゆとりの時間をもつ、おいしいものを食べながらリラックスする」という意味もあります。そういう面を考えると、大切なリラックスの時間を、子供のキャーキャー言う声や、バタバタと走り回る姿を見ていてはリラックスもあったものではありません。
 
 今は育児の真っ最中で、なかなかのんびりと出来ずにストレスを貯めているお母様も、数年すれば子供は幼稚園や学校に行き始めます。そしたら、またお母様の自由な時間が始まるのですよ。その時、きっと「子供連れのお母様方」の乱行に、閉口することと思います。時代は繰り返されているのです。
 ファーストフードのお店や、ファミリーレストランならばもちろんOK(とは言えども、最低限の常識的な行動はこころがけましょうね)だけれど、それ以外の場所では、くれぐれも配慮をお忘れ無く。

  
 さてさて本題。ファッションと育児ですね。そう、育児中のオシャレは、やはり機能性を重視しましょう。今はパンツファッションも一般化し、パンツ(昔はズボンとかスラックスとか言っていた時代がありました)・イコール・スポーツとか、パンツ・イコール・ピクニックとか、そういうイメージはなくなり、立派なタウンウエアになりました。これは、育児をするお母様にとっては、とても幸せなことです。パンツでも、十分にオシャレに着こなせますし、むしろトンチンカンなドレッシーさよりも、すっとおしゃれに、ステキに着こなせるというものです。しかし、やっぱり育児中であることは忘れずに!
 
この時に大事なのは「靴」です。まちがっても、今では当たり前になっている「ミュール」なんてやめてくださいね。自分一人の身も守れない「危ない」ミュールでは、自分と子供2人の安全は到底守れません。靴はさっといつでも走り出せるような靴でないと・・・

 「ここで待っててね!」と言われて、ニコニコと待っていてくれるようなお子様は、そんなに多くはありません。たいていが戻ってくると、「あれれ??」探求心旺盛の子供は、すぐに姿をくらまします。そんな時、どんどんと歩けたり、たったと走れたりする必要は大ですよ。子供に何か問題が生じた時、とっとと「○○ちゃーん!!」と呼びながら、走り出せる靴であることが必要です。

 それから、もう一つ育児に不適当なものが長いスカート。中でも長いタイトスカートは禁物です。どんなにオシャレにスリットが入っていても、子供が横断歩道に急に飛び出したりした時、その長いタイトスカートでは、ぱっと駆け出せませんでしょ?
 要は、育児中(子供と一緒に外出する時)は、何でもぱっぱと、迅速にできる、動き易い装いである事!!!これが最大の注意事項です。ですから、どんなに流行を敏感に取り入れたい、と思っても、やはり第一は子供の安全。数年待てば、間違いなくお子様がべったりとお母様と一緒、ということはなくなります。出来ることならそれまではママであることを最優先させ、流行に敏感になっても、まずはママとしておしゃれで個性的に装い、子供の安全を第一に考えてあげましょう。
 
 そして、次はお子様のお洋服。これも今では、膨大な数のブランドがありますね。昔のように子供服の専門ブランドは今では数少なく、大人のメーカー(デザイナーが)が子供服に進出。週末に都心のオシャレな町を歩いていたら、大人顔負けのファッションの子供が、やはり流行の先端をいくお父様とお母様に連れられて歩いています。しかし、皆さんは子供にお洋服を着せる時、子供の着心地を考えていますか?子供特有の動きを考えていますか?
 数年前でしたが、こんなことがありました。
私のところに来ていただいていた親子。ママはとってもファッショナブル。お兄ちゃんが年中さん、お妹さんは2歳前でした。
 秋のある日、お母様はスリットの入った黒のロングタイトスカートに長袖のベージュのセーター、長いネックレスをされていました。でもね、ママが私とお話をしている間中、抱っこされているお子様は、ずっとそのネックレスを舐めていたのです。そして、抱っこされたままでねんねしてしまった時には、ほっぺの下にちょうどそのネックレスがあって・・・起きた時にはくっきりとほっぺにネックレスのチェーンの跡。抱っこをしているお母様は、そんな事には気付いてはいないご様子でした。きっとお母様がお家のドレッサーの前で、(むー、これで良しっ!)とにっこりされた時には、お子様を抱っこはしていなかったわけですからね。
 幼稚園児の坊ちゃんは、黒の合成皮革の光沢のある黒の長ズボンにビニールコーティングされた長袖Tシャツ。まだまだ赤ちゃん体型の抜けきらない園児は寸胴ですから、ズボンがずりおちないために、大きなバックルの幅の太いベルトをしていました。しかし、これがどうも歩きづらい様子でした。靴はハイカットの編み上げ靴。靴全体が硬そうでした。そして何より、お洋服の通気性が悪く、その子は10月とは言え、汗だくでした。
 見た目は、確かにオシャレなファッション雑誌から抜け出したような親子3人でしたが、機能性という面からは、最低だったようです。次の週に来られた時にお母様が「先生、先週の帰り道は大変だったのですよ。○○君ったら、急に駅の階段で走り出して、ころんだんです!やんなっちゃう!」そうでしょうねえ。あの靴では、きっと走りにくかったでしょう。私は敢えてその先はたずねませんでしたが、その時のママが、転んだお子さんのところへ、赤ちゃんを抱っこしたままのロングスカート姿で、ぱっと走って行った・・・とは思えませんでした。
 もうそれ以降、そういう装いの方にはもうお目にかかっていませんので、こういう方は確かに極端な例かもしれません。しかし、大なり小なり、育児中の装いで、機能性を重視するようり、ファッション性を大事にしたら、やはりこういう事が起こる可能性は大きくなります。まずは親子の安全!これが一番なのですね。

 ファッショナブルなママ達には、大変残酷なお願いかもしれませんが、やはり育児真っ最中は、母である自分の立場をわきまえた上で、ステキに装ってくださいね。考え方によっては、子供が幼く手のかかる時期はそれほど長くはありません。そんな「特別」な期間、ママらしい品格と機能性を重視した装いをする事は、とっても思い出になる、貴重な時期かもしれません。そして、子供をよく抱っこする時期は、ヘアースタイルにも配慮して、子供に対しても清潔でいられるように心掛けて下さい。
 
 髪振り乱して育児をする時期は、決して長くはありません。そのまっただ中にいる時は、そういう泣きたくなるような親子の時間が永遠に続くような気がして、悲しくなってしまうこともあるでしょう?
 でもね、大丈夫。子供は毎日、毎日、親の庇護から巣立つ日に向かって成長し続けているのですよ。どうぞ今は「母」である自分の立場を認識し、「母らしく」をかんがえましょう。

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