親の節度・親のわきまえ 

 昨年の暮れの29日、主人や子供達と共に帰省し、そろそろ古稀を迎える両親と一緒にお正月を迎えました。

そこで、私は10歳以上年の離れた従兄弟達と久しぶりに出会いました。昔はすっかり大きなお姉さん気取りで遊んであげていた二人の従兄弟ですが、今ではそれぞれに独立し、すっかり一人前の父親です。それぞれ1歳半と、9ヶ月の女の子を連れていました。女の子ですので、比較的おとなしいとは言うものの、1歳半はすでに「怪獣期」の年令、9ヶ月もそろそろ怪獣期に突入か?!という時期には違いありません。さー、大人ばかりで平安に迎えていた元旦はいったいどうなるのか???
 お正月と言うものは、こんなに時代が変わっても、やっぱり華やかで、気分もウキウキとする特別の雰囲気がありますね。いつもはハチャメチャな怪獣期の子供達も、みんなきれいに着飾ってもらい、母親達も手のかかる子供がいるとは言え、少しは居ずまいをただしてちょっぴり「おめかし」をしてご挨拶に出かけます。そう、当然この日も、この2家庭のママと子供達もチャーミングに装って出かけてきていました。

 しかし、とかくこういういつもと違うおめかしをした時は、子供達にとっては楽しくない・・・いくらかわいいお洋服を着せてもらっても、実際にはそれはちょっと動きにくかったり、出掛けにママから「お利口さんにしていてね。汚しちゃダメよ!」などとやんわりと釘を刺されていたりして・・・そしてママ達の装いも、決して怪獣期の子供達との「戦闘体制」を中心に考えた服装ではありません。

 その上、幼い子供達がお正月に顔を合わせる相手は、妙に親しげに抱っこしてくれたり、名前を呼んでくれたりする人であったとしても、子供にとれば普段はあまり顔を見る事のないストレンジャー・・・毎日顔を合わせている公園のお友達のママや、よく顔を見るスーパーの愛想の良いオジサンではありません。そんなストレンジャーを相手に、いつもみたいに「愛想良く」とか、会ったとたんに「満面の笑顔」など、なかなか出来るものではありません。

どんなにパパやママが祈るような気持ちで、(今日だからこそ、みんなの前でいつもみたいにニコニコしてくれ!!)(お願い!いつものひょうきんさをめいっぱい披露して!)と願っても、なかなかそんなに台本通りにはいきません。パパやママは焦りますよね・・・

 私はここで、自分の従兄弟や従兄弟のお嫁さん達を誉めたい、というわけではありません。ただ、その日の二組の母子の様子は、自分の身内ではありますが、本当に立派で、「母親のあるべき姿」と敬服したものでした。

 怪獣のママ達は、とうとう最後まで子供達のそばを離れず、となりの座敷のテーブルの上にところ狭しの並べられたおせちや料亭からの御馳走に一回も箸をつける事なく、新年の挨拶を済ませた後は、にこやかに他の親戚と談笑しながら子供をあやし、遊ばせ・・・帰っていきました。

 そして私がその日にもうひとつ「偉いな・・・」と感じたことは、私の従兄弟である夫達が、慣れない家で一生懸命に子供の相手をしている妻達に、一度も「こっちに来て、おせちをいただかないか?!」などと声をかけなかった事です。たぶん心の中では(あいつ、お腹すいただろうな・・・)(もうこんな時間、朝からあいつは何も食ってない・・・)(むー、この料理おいしいなあ。あいつにも食べさせてやりたいな・・・)などと、きっと感じていただろうな、と思うのです。しかし、彼らは途中でコソコソっと何かを話しにきたり、むずかる子供達を少しの時間抱っこしたりはしていましたが、宴席に呼ぼうとはしませんでした。

 ここ最近では、すっかり子供達をほっておいて、若い両親が自分達の遊びに熱中する、という事も珍しくはない時代ではありますが・・・
 こういうふうに「子供のために親が我慢をする」という時期は、そんなに長くは続きません。長くはないのだからこそ、「親達こそがわきまえ」を持ってもらいたい、と思うのです。

 最近では、海外旅行も、温泉旅行も、オシャレなお店でのお食事も、みんな親のほうが「行きたいのだから行ってみよう!」「子供がいたって、思いきってやってみよう!」と傍若無人に(私から見れば、という意味ですが)何でも子連れでチャレンジ(エンジョイ!?)する親子が増えています。しかし、「子供のために」と思って少々無理をした旅行も食事も、残念ながら子供にとっては「ありがた迷惑」という事だってないとは言えないわけですし・・・
 つい最近、新成人の傍若無人な行動が報道され、社会的にも大きな問題となりました。この時の世論の多くは、新成人の振る舞いについて非常に批判的でしたね。

 私は、同じ様な「節度のない傍若無人な振る舞い」が、今の若い両親にも多いのではないか?と思えてなりません。電車の中に平気でベビーカーのままで乗ってくる・・・レストランで子供が騒ぐ・・・グラスやお皿などの割れものの多い売場に平気で子連れでやってきて、母親は子供と手もつないでいない・・・これらの全てのことは、幼い子供を持つ親としての節度の欠落であり、社会人としてのモラルのなさ、親として未成熟の表れでしょう。

 今は手のかかる子供達も、「手のかからない時期」に向かって1秒1秒成長していっているのです。どうぞ「親の自覚・わきまえ・節度ある振る舞い」を心掛けて、21世紀の最初の1年を送ってください。